瀬戸内に浮かぶ小さな島・因島。
私が子供の頃までは日立造船で栄えてましたが、
今は造船業も下火になり人口もその頃よりぐんと減り、
日中は鳥の声、夜は牛蛙の声が聞こえるほど静かな街になりました。
もう一つ無くなりそうなものがあります。
それは、白い花・除虫菊です。
除虫菊は殺虫剤・線香の原料として栽培が始まり、因島はその栽培が日本一を誇っていたそうです。
しかし、それも時代の流れとともにすたれ、
どこで栽培しているのか探さないと分からなくなってしまってます。
やっと見つけたのは、島の外れ、海に面した段々畑でした。
除虫菊は観光協会の方が伝承のために植えてくれているそうです。
「今から40年ほど前までは、島が真っ白に染まるように除虫菊でいっぱいじゃったんよ」 母
「へぇ・・・」
「この辺の人もほとんど除虫菊を植えとったんよ」 母
「ねぇ、除虫菊ってほんまに除虫効果があったん?」
「うん。 白い花の先だけを取って、それを干して乾燥させて、
それを出荷して蚊取り線香にしとったんよ。
じゃけ、その乾燥させたもんを燃やして煙をおこしたら、ほんまに虫が来んかった。」 父
「なんで、作らんなったん?」
「蚊取り線香を使う人が少のうなったけのぉ。。煙の出んコンセントタイプに変わったじゃろう」 父
「そっかぁ」 そういえば、蚊取り線香を使っていた記憶は子供の頃までだった。
赤い桟橋の港からは、ちょうど三原行きの高速船が出発するところでした。
あの向こうの山も、きっと真っ白な除虫菊でいっぱいだったんだろうな。
島全体が真っ白に染まる景色、見てみたかったなぁ。
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