やっちゃった・・・

パリの３つ星レストラン・ギー・サヴォアでスタージュ中の私が配属してもらってるのは
ポワソン(魚の部署）
いつもの通り、でもいつもの２倍の量のジホールをジュリアンに言われ、いつものようにアントワー（ポワソン）に救われ途中で休憩。
　ホーレン草を持って通りかかったパティシエの部署の仲間に
「はい。どーぞ」　と、出来たてふんわりマシュマロの新作をもらい
「ありがとーーー。ん～～～～～」　目を閉じながら　
「「美味しい～～～」」　←二重奏
え？！！私の声じゃないぞ？？　
目を開けたら目の前にダヴィッド（ポワソン）が　・・
「またパティシエのみんなにオヤツもらったの？」　と、笑ってます。
「えへへ・・・仕事するね。笑」

それから夜の営業中の仕事も終えてアントワーに呼ばれて厨房に上がってお手伝い。
アントワーが地下の魚の部署を片付けてくれてます。
厨房で洗い物をしていると、
「はい。ユカリ食べていいよ。オマール。」　と、仕事をしながらダヴィッド。
「わ～～～い」
「あ！ちょっと待って」　銀食器に入れてオマールのミソで作ったソースをとろ～り
「わ～～～　凄い！！」
「オマールソースだよ。　はい、いいよ。食べて。」
もぐもぐ・・・目をつむって顔がにやける美味しさ　「ん～～～～～！」
「た～んと　おあがり～　（Bon appetit !）」　笑いながらダヴィッド
「お～～～いし～～～～」
「ユカリはいつも｛美味しい　美味しい｝ばかりだね！笑」
「だってしょうが無いよ～　ダヴィッド料理は最高なんだもん。」
「ああ。笑　優しいね、ユカリは。笑」
「ほんとだよ！！　あ～～美味しかった！」　
ニコニコしながら洗い物を続けてると
「ユカリ　スタージュもあと一週間だね！！」　笑顔でダヴィッド
「うん」　　その話題には触れないで・・・・
「本当に良く頑張ったね！」
「ありがとう～～」　　でも厨房では絶対泣かない
「ちゃんと　勉強になった？」　
「うん、凄く！毎日毎日いろんな事を勉強できた。」
「ユカリは頑張ったもんね！」
「違うよ。ダヴィッドやアントワーが教えてくれたからだよ！」
「でもちょっと疲れただろうから休みが待ち遠しいだろ？　笑」
「・・・・寂しい。」　　ボソっと本音が出てしまいました。
「・・そっか　笑」
「うん」　ダヴィッドの顔が見れません。見たら涙を我慢できなくなりそうでした。
「ユカリ。ユカリが一生懸命勉強しようとしてるのが良くわかったから、出来る限り教えてあげたいって思ったんだよ！」
・・・・・・・・・・・・・だ
・・・・・・・・・・・・・だめだ　な・・涙が・・・
ボロ・・・ボロ・・・・ボロボロボロボロ・・・
「ごめん。」　厨房では泣かないと決めてたのに、ダヴィッドが優し過ぎてついに我慢の限界を超してしまいました。
「あ～～～。ユカリィ～～　笑」　　笑いながら困ってるダヴィッド
「あ・・（ヒック）・・・ありがとう。ダヴィッド（ヒック）」　泣きながらヒックヒック
もう洗いものしてる自分の手が見えません。
手が汚れてるから、涙は流れたまんま。
やれやれ。。。
「「「ユカリ！！！」」」　と、二人のロホン（スーシェフ）、ミッシェル（スーシェフ）
柱で見えてないと思ったのにスーシェフには厨房内どこにいてもお見通しでした。
「ごめ～～ん。泣かしちゃった～～　笑」　と、困った笑いをしながらダヴィッド
「「「アララ～～～　どうしたんだい？ユカリ？」」」　と、三人のスーシェフ　　
「｛よく頑張ったね｝って褒めてたら、嬉しくなっちゃったみたいで、、、笑」　ダヴィッドが説明
「ユカリ、スタージュ今日で終わるのかい？」　肩を撫でてくれながらロホン・D（スーシェフ）
「うんん。　来週もある」　
「そうだろ？！まだ来週もあるだろ？ほら元気だして！！」　ミッシェル（スーシェフ）　
「ユカリはいい子だね」　と、ロホン・S（スーシェフ）
３人のスーシェフに慰めてもらってる間にダヴィッドは片付け終了。
仕事が速い。　ダヴィッド。
「はい！トーション（布巾）とタピエ（エプロン）外して、終わっていいよ。」
「うん。」
今日はこの後地下でみんなバカンス前のパーティーです。
　泣いちゃった事がみんなにバレてて、からかわれてるのを見て笑いながらアントワー（ポワソン）がシャンパンの栓を静かに音を立てずに開けてます。
アントワーは何をやっても上手です。
「ユカリ　ちゃんとシャンパン貰った？」　と、ギモンが自分の分より先に端っこにいた私を心配してくれました。
「うん！」
「じゃあ。　みんなよく頑張ってくれたね！ちょっと早いけど、良いバカンスを。」　とシェフ
「「「「ウイ～～～　メリシィ！！」」」」
みんなで飲むシャンパンは格別です。
「アトンシヨン！みんな！！このシャンパングラスは高いんだから、ふざけて割らないように！　割ったら一人で大掃除！！」
と、ロホン・S（スーシェフ）
プチ・フール（一口サイズのお菓子）にベリーのケーキ、みんなで食べてるのは夜の１２時半。
ギー・サヴォアは本当に素晴しいレストランです。











ケーキを切ってくれてるのは　
「ユカリ～　ユカリ～　ユカ　ユカリ～～」
と、いつも歌いながら声をかけてくれるシリル（ビアンド・肉の部署）
左がジュリアン（ジホールの）
奥がダミアン（アントレ・ホワ・冷たい前菜）です。
copyright © hataji 200６. All rights reserved